あるコンテンツを作成するときに誰に向かって書くのか。
これは、しばしば難しい問題になります。
なぜなら、ネット上のあらゆるコンテンツは不特定多数の人の目に触れることになるし、特定の誰かを想像することは非常に難しいケースが多いからです。
ただ、見込み客の反応率をあげると言う視点に立った場合はただひとつ、あることを意識して書くだけで、高い反応率を示すコンテンツをつくることができるようになります。
今回は見込み客の反応率を上げるために意識すべきことについてお話しします。
目次
誰を相手とし、誰に向かって書くのか?それが問題だ
まず基本的なこととして、コンテンツを作成する時は、対象は常にたった一人の相手を意識してください。
とりわけ、これからあなたが見込み客に何かとってもらいたい行動を引き起こすためにコンテンツを作成する場合は、たったひとりの「あなた」を意識して書くようにしてください。
対象を絞り込み、あるひとりの「あなた」に向けたコンテンツであってもなんら問題ありません。
経験上、必ずその周辺の誰かを巻き込んでいき、結果として特定の誰か以外の誰かも高確率で反応してくれるいいコンテンツに仕上がります。
なぜ、特定の「あなた」に向けたコンテンツなのに周辺の顧客を巻き込むのかその理由はハッキリとは分かりませんが、経験上、例えそれが大衆に向かってつくるコンテンツだとしても、多くのひとに向けて書くよりも、そのコンテンツを必要とするたったひとりの「あなた」に向かって伝えることを意識して書く方が、より高い反応を示すコンテンツとなっている感触があります。
たった一人の「あなた」とは誰か?
では、たったひとりの「あなた」とは具体的にはどのような相手のことを言うのか?
一言で言えば「あなたが大切に思う身近な誰か」のことだと思ってください。
ただ「あなたが大切に思う身近な誰か」とは言うものの、それだけでは漠然としすぎていて具体性がないと感じると思います。
「そんな人今身近にいないしぼんやりしていて分からない」
と言った意見を持つ方も中にはいることでしょう。
そうしたケースや「あなたが大切に思う身近な誰か」をイメージできない場合は下記の3人のうち、いずれかの誰かを想像してコンテンツを作成していくといいものになると思います。
【あなたが大切に思う身近な誰かとしてイメージしやすい相手】
1:自分自身
2:好きな人(恋人または夫や妻)
3:両親または子供
私が何かネット上に相手にとってもらいたい行動をしてもらうためのコンテンツを作成するときに強く意識しているのは、ほとんどのケースで上記いずれかの相手を設定しています(つまりは見込み客の反応率を上げるためのコンテンツのことです)。
例えば、あなたの好きな人が何か問題を抱えており真剣に悩んでいて、それを解決してあげようと思うものの、頑固でなかなか動いてくれない。
そこで、好きな人を納得させるためにあらゆるエビデンスを用意し、ときには理屈をごねくりまわし実際にとってもらいたい行動をしてもらえるように背中を押していくと言ったことを意識して書いています。
それが、そっと背中を押す程度のこともあれば、実際は少しだけ強引に畳み掛けることもあります(笑)
ただし自分の利益だけを考えて、適当なことを言うのではなく、実際に相手がそう行動すべき価値があるものだと示さなくてはなりませんし、実際何か嘘をついていると、顧客はいずれ逃げていきますので嘘のない言葉で伝えてください。
もちろん、感情を揺さぶるような過激な表現をしたり誇張して伝えることで相手の反応率を高めるテクニックなどもありますが、きちんとした見込み客を集めたいのであれば、そうではなく、きちんと相手が納得の上行動できるように伝えてください。
これは非常に面白いことですが、「感情」で反応した相手は「感情」で返してきますし、「理屈」で反応した相手は、「理屈」で返してきます。
そのどちらも私は経験していますが、私の感触としては、ちょうどその中間くらいがちょうどいい塩梅だと思います。
あらゆるコンテンツにおいて「●●な方」よりも「あなた」の方が反応率が上がる
また、コンテンツの中で特定の誰かに語りかける時はできるだけ「あなた」と言う言葉を使うように意識しています。
つまり「●●の方」や「●●に悩んでいる方」と言うのではなく、できるだけ「あなた」と言う単語を意識して使うようにしています。
これには理由があります。
例えば、あなたが大衆に向かって話しかけるケースを想像してください。
大勢に向かって「●●な方」と言われるよりも、特定の誰かに向かって「あなた」といった方が、より人は自分ごとのように振り返ってくれますし、自分に向かって言われていると感じます。
これだけ情報で溢れかえっていて、何もしなくても勝手に情報が降りてくる現代において、自分ごとに感じてもらい振り向いてもらえなければ、残念ながらあなたのコンテンツはそこにないものと同じことです。
だからこそ、私はできるだけ何か真剣に物事を伝える際は「あなた」と言う言葉を大切にしていますし、また「あなた」と言う言葉を意識して使って伝えるようにしています。
ネット上のコンテンツは、実際どんな相手が見ているのか分からないものばかりで、そして誰もがあらゆるコンテンツにたやすくアクセスできます。
なんとなく、たどり着く人もいれば、きちんと意識してそのコンテンツにたどり着くこともあります。
その両者を巻き込もうとするのではなく、あくまで特定の「あなた」を意識してそこの「あなた」に向けてコンテンツを作成すると見込み客が高い反応を示すコンテンツとなります。
全ての相手に向かって書いてはいけない
見込み客が反応するコンテンツを作成する上で大前提となることで、つまりは大事なことになるので繰り返しになりますが、見込み客に反応してほしいコンテンツを作成する際は、必ず特定の誰かを想像して伝えるようにしてください。
その相手をより現実のものとして、まるでそこにいるかのようにリアルに感じられれば、より、相手に伝わるメッセージは明確になります。
伝えたい相手を意識し、その相手に伝わる言葉で、きちんと伝わるように納得してもらえるように書いてください。
例えば私はこのサイトを作成するにあたって、読んで欲しい相手は幅広く設定しているものの、見込み客に真剣にメッセージを伝えると言うことを意識したコンテンツを作成する際は、必ず「自分自身」に向かって書くようにしています。
私のケースでは、不思議なことに自分自身に向かって書いたコンテンツであればあるほど、より伝わるようなものになる気がするからです(これはあくまで私のケースで万人に通じるものだとは思いません)。
もしかしたら私自身が過去SEOに関して苦い経験をしたことがあるから、当時の自分に向けて書くことで「そっちじゃないよ、こっちだよ」と手を差し伸べる意識が働いているのかもしれません(ハッキリとしたことはわかりませんが)。
ただ客観性は大事です。
言葉は誰かと感情や気持ち、思いや考えなどを共有するためにあります。
自分だけに理解できるものと言ったような、本当に自分自身だけに向けたコンテンツであっては見込み客から理解や共感を得ることは難しいでしょう。
コンテンツが独りよがりのものになってしまっては、誰にも伝わらないつまらない自己満足のコンテンツになってしまいますし、コンテンツは常にユーザーのためにあると言う筋からずれていってしまいます。
「自分自身」に向かって書く時は、必ずそのコンテンツが独りよがりのものになっていないかを確認するようにしてください。
何度も言いますが、コンテンツはユーザーのためにあります。
自分自身のためにかくと言う道を選んだ場合は、ある種の客観性を持って取り組むことが大事となりますので注意してください。
作家やアーティストも身近な「誰か」に向かって作品をかいている
それが意識的か無意識によるものかは別として、不思議なことに誰かの心に突き刺さる作品をつくる作家やアーティストは、身近な誰かに向かって書いているように感じます。
なかでもそれが「身近にいる大切な人」だった場合は、良いものになっている気がします。
例えば、宇多田ヒカルさんの「Fantome」と言うアルバムに収録されている「道」と言う曲や「花束を君に」などはお母さんの藤圭子さんに向けて書いたものだと感じますし、ロックミュージシャンONE OK ROCKの初期の躍動感溢れる曲は自分自身や仲間に向けて書いた曲のように感じます(ちょうどこのコンテンツを作成しているときに聞いていたのでここに例としてあげました)。
なぜそうなるのかはわかりませんが、たぶん、たった一人のために書いたものであっても、どこかで同じ感情を持っている人がいて、それが共感をうみ、それを読んだ人やその時の状況などによって、心の琴線に触れるものになるのだと思います。
人の感情を大きくつき動かすものは、たった一人のあなたに向けられたものが多い
歌手の綾香さんやSuperflyなどの素晴らしいアーティストを世に送り出した音楽プロデューサーに四角大輔さんと言う方がいます。
四角さんは現在はニュージーランドの湖畔で悠々自適な生活をされているようですが著書「人生やらなくていいことリスト」の中で下記のような発言をしています。
”世代や時代を超えて多くの人に愛され続ける歌は、たったひとりの「純朴な想い」から生まれたものだ。
「100万枚売れる曲を作ろう」と、最初から頭で計算して創られたものではない。
そして、そう言った曲のほとんどが、「自分自身」「すぐ近くにいる大切な人」「生涯忘れることができない人」と言った、人生において特別な存在の、「あるひとり」に向けた純朴で熱い気持ちから生まれている。
それは最初に、つくった本人の心を震わせ、次に、すぐそばにいる人の心を強く動かす。
歌う本人と目の前で聴く者が感動できない曲が、遠くの見知らぬ人の心に届くと言うことは、決してない。
実際にぼくが関わったヒットソングのほとんどが、個人的かつ無垢な思いをベースとし、「誰かひとり」のためにつくられていた。”
また、四角さんはなぜ名曲が生まれるのか、その理由を探るために「この曲はどうやって生まれましたか?」と言う質問を仕事で出会うアーティストに対して質問し続けた経験があるようです。
そんな貴重な機会は音楽に関わっている人以外考えられないので非常に興味深く読ませていただきましたが、著書には下記のように書き記されています。
”ぼくは、この仮説を確かめたくて、時代を超えて歌い継がれている名曲を創ったアーティストに会うたび、「この曲は、どうやって生まれましたか?」という、ひとつの質問をし続けた。
すると、多くの人が「あるひとりのために書いた」と答えたのだ。
言葉の一つひとつが、特定の誰かに真っ直ぐに向けられていれば、歌い手と聴く人の関係が「一対一」になり、自然に、リスナーの心の奥へ入り込む。”
この後に四角さんの視点から、ジョンレノンの「イマジン」と言う曲が生まれた経緯について個人的な見解が述べられていますが、コンテンツを作成する上でも、非常に興味深いことが記されているので興味がある方はぜひ一度読んで見てください。
確かに私も思うことがあり、著書に書かれているたった一人の相手に向かって書いた結果、あのような名曲が生まれたのだと感じます。
Chapterごとに話が区切られていますが、このことについて語られているのは「Chapter33 純朴なまま生きていい」のChapterです。
「人生やらなくていいことリスト」という本に出会ったのはごく最近ですが、やはり、突き詰めていくと「身近にいる大切な誰か」に向かって書くことが結果的に大衆の心を動かすコンテンツになるのではないかと思います。
ペルソナは必要か?
以上のような話をすると必ず「ペルソナを設定するということですか?」というご意見をもらうことがあります。
また「ペルソナを設定することは大事ですよね」というようなことを言われることもあります。
誤解しないで欲しいのは、私はペルソナを否定しているわけではありませんし、ある条件下ではペルソナを設定することが非常に有効に働くケースもあります。
例えば、あるグループで特定の誰かに向かって一つのコンテンツを複数人で作成する場合などは、コンテンツを作成するにあたっての考えや思いを共有する必要が出てきますので、ペルソナの設定は大事になるでしょう。
ペルソナなしでは、コンテンツ作成者の意識がいろんなところに向かってしまうので、サイトがちぐはぐなものとなってしまい、伝わらないものになってしまうからです。
ただ、私は本質的な意味ではペルソナは必要ないと思っています。
繰り返しになりますが、私はペルソナを否定しているわけではありません。
ただ必要となるケースと必要とならないケースがあり、どちらかと言うと必要ないケースの方が多いのではないかと思っています。
特に大人数が制作に関わる大規模なサイトではなく、個人サイトの場合はペルソナをつくる必要性はそこまで感じません。
もちろんビジネス的に見た場合のターゲットを明確にしどのような相手に向かって書くのか、あなたのお客さんは誰なのかを知ることは非常に大切で、それはしなくてはならないことですが、それ以外のケースにおいてペルソナのようなフレームは必要ないと考えています。
(何度も言いますがペルソナを完全に否定しているわけではなくて、個人サイトであれどペルソナが必要なケースもあります)
私自身、ペルソナをきちんと作成して何かものを書くことは少なくなりましたが、ペルソナを作成してコンテンツを作成することもあります。
だからこそ、ペルソナの有効性はもちろんペルソナを作成することで起こりうる害悪なものも知っているつもりです。
そしてそれを踏まえてまでも、私はペルソナを作成することを強くお勧めはしません。
ペルソナは所詮ビジネス目的としてつくられた架空の人物像であり、身近にいる大切な誰かではないため、いずれの人物像もなんとなくぼんやりとしておりイメージしづらく、そんな相手に向かってコンテンツを作成するのは雲を掴むようなものだからです。
つまり、実際に目に見えているようで、本質的なところは見えていないのではないかと思うことが多い。
それよりも、「身近にいる大切な誰か」を想像して書くと言った方が、伝わりやすいものになるような気がしています。
もちろん、ペルソナを作成してその人物が本当にありありとイメージできるのならどんどんペルソナを設定していくといいと思います。
そこまで完璧にイメージできるのであればペルソナを設定して高い反応率を示すコンテンツを作成することができると思います。
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