経済学

アダムスミス曰く「下層の人々が豊かになってこそ、国は豊かになる」〜モラルが失われた文明社会について〜

「富を持つもの」はその資本を使い、国や役人と結託して法律や規制を自分たちの都合のいいようにかえ、あらゆる意味で「独占」状態に導くように働きかけていきます。

特に1990年代後半以降の日本の環境を見るとこれは明らかです。

それまで共産主義諸国との間で均衡をたもっていた世界情勢が崩れ、資本主義経済一辺倒の経済体制に入るとマネーゲームが加熱し、世界的に拝金主義とも言える様な体制が築かれました。

そしてこのマネーゲームが加速し、投資家や資本家、富裕層に有利な法律に書き換えていくことで世の中のバランスが崩れ人々の間から当たり前のことやそこにあるモラルが薄れていってしまった様に思えるのです※。

つまり富あるものに下層の人々が搾取され、人々の間からモラルが失われ、稼げればなんでもいい、どんな手段を使ってでも財を築いた人が正義であるという考え方が生まれてしまった様に思うのです。

>>>市場が熱狂状態にある場合、詐欺の発生率と複雑性が急激に増す

※もちろんモラルの欠如は、ビジネスの世界ではそれまでもあったけどマネーゲームが加熱してからは当然のこととしてあったモラルが激しく薄れていった印象を受けます。

「金儲けできればどんな手段を使ってもいい」と言ったような論法は側から見ればかっこよくうつるのかもしれませんがはっきり言って迷惑ですし単細胞でダサい主張だと思います。個人的に。

ただ現在のビジネス環境は、金儲けさえできれば基本的になんでもありな風潮があるので、現在のビジネスの現場で戦うということを考えるとあらゆる手段を使わないと戦うことが途端に難しくなります。モラルの欠如はやがてあらゆる階層にも及ぶというのはこれまでの歴史を見れば明らかです。

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なぜ不景気になるのか?現在の金融システムの問題点とゴールドスミス・ノートの理論について

話が長くなるので、詳しいことはここでは割愛させていただきますが、実は現在の金融システムは、だれかが借金をすることで、お金が社会に流れる仕組みになっています。

それは人でも企業でも国でも同じことで、「誰かが借金をして金を回す」と言うことが経済活動を行う意味において重要になります。

あまり公にされていることではないし、公にできるようなことでもないのかもしれませんが、ゆえに、だれかが銀行などから、借金をして投資をし続けないと、経済社会が回らないシステムになっているのです。

そして今の金融システムにおいては、不景気は(一つのトリガーとして)借金が返済されたり借金の総量が減った時に生じます。

この辺りはお金を作り出す根本的な理論として「ゴールドスミス・ノートの理論」を調べていただければご理解いただけるかと思います。

現在の金融システムは金を「預かり証」と言う「証書」を発行して預かっていた、金匠と呼ばれる職業の方が思いついたシステムが元になっていると言われており、ゴールドスミス・ノートの理論を理解すれば現代の銀行がお金を作り出し、融資をする仕組みについてご理解いただけるかと思います。

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ヒャルマール・シャハトの経済思想について「全ての局面において通用する経済政策や法則はない」

ここでドイツの財政家であり経済学者でもあるヒャルマール・シャハト(1877~1970)の経済思想についてもお話ししておこうとおもいます。

シャハトは「自由主義」や「共産主義」に見られる一方の経済法則を如何なる局面においても通用するものとして盲信するべきではなく、その時々の局面に沿って対応していくべきだという立場をとっています。

「経済政策は科学ではない、一つの技術である、だから確固不動の経済方策や不変の経済法則について云々するのは誤りである」

つまりシャハトは「全ての局面において通用する経済法則など存在しない」からこそ、一つの経済理論を盲信したり、それぞれの学派による立場に固執するのではなく、経済政策はその時々の時流を見て柔軟に対応していくべきだと主張しているのです。

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トーマス・グレシャム「悪貨は良貨を駆逐する」の経済学的な意味について

私はものの例えとして、現在の状況と照らし合わせて「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉をよく使っていますが、誤解のないように正式な意味もここでお伝えしておこうと思います。

まず「悪貨は良貨を駆逐する」の言葉で有名なトーマス・グレシャム(1519〜1579)はイギリスの財政家で王室の金融代理人を務めた人物です。

グレシャムが生きた時代の政府は国の財政が苦しくなり、以前のように金や銀といった純度の高い貨幣を鋳造することができなくなっていました。

それを、当時はその貨幣不足を金や銀の純度の落ちた貨幣を鋳造することで補い、それを以前の純度の高い貨幣と同じもの、または同等の価値のものとして流通させたのです。

でも普通に考えてみれば同じ価値であるわけがありません。貴金属の純度が落ちたモノを、純度の高いモノと同等の価値として流通させるのには無理があります。

だからその結果、純度の高い良質な貨幣が市場に出回らなくなってしまい純度の落ちた価値の低い貨幣ばかりが市場に出回るようになってしまい純度の高い良質な貨幣はいつの間にか市場から姿を消してしまったのです。

そうした貨幣不足を金属品位の低下した貨幣で補う手法はグレシャムの時代だけではなく、古代ローマから中世ヨーロッパに至るまで何度も行われ、その度に経済社会に何度も混乱をもたらしたというのが大筋の流れとしておさえておきたい部分です。

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