なぜ不景気になるのか?現在の金融システムの問題点とゴールドスミス・ノートの理論について

話が長くなるので、詳しいことはここでは割愛させていただきますが、実は現在の金融システムは、だれかが借金をすることで、お金が社会に流れる仕組みになっています。

それは人でも企業でも国でも同じことで、「誰かが借金をして金を回す」と言うことが経済活動を行う意味において重要になります。

あまり公にされていることではないし、公にできるようなことでもないのかもしれませんが、ゆえに、だれかが銀行などから、借金をして投資をし続けないと、経済社会が回らないシステムになっているのです。

そして今の金融システムにおいては、不景気は(一つのトリガーとして)借金が返済されたり借金の総量が減った時に生じます。

この辺りはお金を作り出す根本的な理論として「ゴールドスミス・ノートの理論」を調べていただければご理解いただけるかと思います。

現在の金融システムは金を「預かり証」と言う「証書」を発行して預かっていた、金匠と呼ばれる職業の方が思いついたシステムが元になっていると言われており、ゴールドスミス・ノートの理論を理解すれば現代の銀行がお金を作り出し、融資をする仕組みについてご理解いただけるかと思います。

ヨーゼフ・シュンペーターの「経済発展の理論」とその危うさについて

ここでより理解を深めるために、シュンペーターの「経済発展の理論」についてもお話ししておきます。

ドイツ語圏に生まれたヨーぜフ・シュンペーター(1883~1950)は産業革命による技術革新で世の中が急激に変わっていくさまを見て育ちました。

そのため著書「経済発展の理論」では「技術革新」による「設備投資」を重要視しており、「技術革新こそが経済成長の要である」と述べていますが、この理論でもほのめかされている通り、実は現在の経済社会は、投資をして拡大再生産をすることを前提として成り立っているひどく脆い社会になります。

つまり、シュンペーターの「経済発展の理論」によれば「好景気は技術革新による設備投資によってもたらされるもの」であり技術革新なしに経済は発展しないと言う、技術発展に伴う設備投資がうまく機能してこそ景気がよくなると主張しているのです。

シュンペーターは技術革新の具体例として5つの柱を挙げており、著書「経済発展の理論」によれば「新しい商品を開発すること」「新しい生産方法を開発すること」「新しい市場を開拓すること」「資源を開拓すること」「新しい組織形態の開発をすること」だとしています。

【シュンペーターの経済発展論(日本語版)】

1:Herstellung eines neuen Gutes(新しき品質の財貨の製造)
2:Einführung einer neuen Produktionsme- thode(新しき生産方法の導入)
3:Erschließung eines neuen Absatzmarktes(新販路の開拓)
4:Eroberung einer neuen Bezugsquelle von Rohstoffen oder Halbfabrikaten(原材料或ひは半製品の新しき獲得資源の占拠)
5:Durchführung einer Neuorganisation(新組織の達成)

ただ、シュンペーターの「経済発展の理論」では不景気は好景気となる準備期間であると単純な経済法則として捉えてしまっており、不景気に対する打開策などは特段述べられていないところに問題があります。

そればかりか、シュンペーターは「不況は好況のための準備期間であり、好景気をもたらすためには不況も必要」とまで言い切ってしまっています。

そしてそれがシュンペーターの経済理論の悪の一つであり罪の一つであると一般的には認識されています。

(※この点においては同じ時代に生きたケインズ(1883〜1946)は有効需要論として「不況の時は企業の投資が減り、企業の投資が減れば雇用も減り賃金も下がると言う悪循環が生じる。それを断ち切るには政府が公共投資をして人為的に社会全体の投資を増やさなくてはならない(不況の時は経済を安定させるために積極的に公共事業を行うべし)」と述べていますからケインズは経済活動を自由にしておくのではなく、不況時の失業者が多い時には積極的に国が投資して有効需要を増やし、人為的に失業者に職を与えるべきだと言う不況に対する打開策を述べています。例えば公共事業による政府の介入もこれにあたります)

また、シュンペーターの理論では、あたかも好景気を索引する経済を全て「技術革新」に結びつけて考えているところにも無理がある話だとおもいます。実際は好況と不況その全てが「技術革新」によるものだとは断言できないし、世の中はそこまで単純な理論で片づけられるほど簡単ではないからです。

シュンペーターの生きた時代背景は産業革命の真っ只中でしたから、シュンペーターの目には「技術革新」がそれほど経済活動において重要であり魅力的なものとしてうつったのだとおもいます。

とは言うものの、現代は、知らずのうちに止まることが許されないジェットコースターに乗っているようなものであり、技術革新に伴い誰かが借金をすることで拡大に次ぐ拡大を行い、大量に消費をしてお金を回していかないと成立しない社会になってしまっていることは本当のことです。

※こうした間違いやちょっと考えればおかしなことまでもがその時々の「権威」によって脅かされるところも変わっていないなとおもいます。

例えばSEOについて言えば、現在のGoogleのアルゴリズムは権威性(authority)を一つの柱にしていますが、こうした力を持ったコンテンツだけが正しいものであるとは限らないし、一時的にでも長期的にでも、幅を利かせてしまっている現状があります。

またGoogleは人気投票による全体評価をアルゴリズムにおいて大切にしていますが人気のあるコンテンツが本質的に正しいとも限りません。

それは少しその分野で賢い人が検索をしてみればわかります。今のGoogleの検索アルゴリズムはそれほど狂っており、権威とは名ばかりの大企業優遇のマネーゲーム、SEOで幅を効かせた見せかけだけの専門性、形ばかりの信頼性に偏ったコンテンツが多いです。

また、その時々の時代でスポットを浴びる、権威のある思想や理論は得てして極端なものが多いものです。

それは熱狂とも呼ばれるような状態であり、その最中にある時には真実を掴み取ることが難しくなります。

>>>市場が熱狂状態にある場合、詐欺の発生率と複雑性が急激に増す

そしてそうした権威のあるコンテンツが幅を聞かせてしまうことで深刻な事態を招き、知らず知らずのうちに破滅への道をつき進み始めてしまうのです。

それはナチズムの台頭でも見て取れることです。

こうした歴史を見てみると、なんだかんだ、根本的な人間の営みはちっとも進化していないのだなと感じさせられてしまいます。

繰り返しになりますが、現在のGoogleのアルゴリズムはYMYL領域においては特に「専門性(Expertise)」「権威性(Authoritativeness)」「信頼性(Trustworthiness)」を重視しています。ただ、これがウェブの世界で良いものであるとは限らないのです。

それは、わかっていてもそこに突き進んでしまう、運命の悪戯のようなものなのかもしれません。

現在の金融システムはゴールドスミスノートの理論が元になっている

話を戻しましょう(ちょっと寄り道してしまいました)。

とにかく、現在の紙幣はもともとは金(貴金属の金)の預かり証書としての意味を持ち、それが通貨(紙幣)として使われるようになったためほとんどの通貨が「銀行券」と呼ばれていると言う経緯があります。

つまり、以前は預かり証書を持っていれば、金という価値ある貴金属と交換してもらえる「金本位制」という制度をとっており、それが紙切れに過ぎない紙幣の価値を保証していたのです。

(もちろん、今は金との交換を保証していません。ニクソン・ショックによって金との交換を補償しなくなった今も中央銀行が発行する紙幣として、国家に紐付き通貨としての価値は存在し続けています)

そして、現在の金融システムは元を辿れば金匠の金融システムが使われており拡大再生産、大量消費をし続けることを前提として社会を支えるシステムになってしまっています。

金匠が行っていたように、実際に保有しているお金よりも何倍もの紙幣を発行し、それを誰かに貸し付け、回していかなければ経済が回らない仕組みになってしまっているからです。

つまり、(実質的には)誰かが借金をして、投資をし拡大再生産を続けていかなければ成り立っていかないシステムになってしまっており、社会を支えるには、社会全体が大量に消費をし続けなければならないシステムになっているのです。

存在しない、社会に供給されている以上の金(カネ)が出回り膨らみ続けている現在

ただ、借金には利子がつきものです(金匠は実際に保有している金を「準備金」として担保し実際に保有している以上の「金の預かり証」を発行しそこに「利子」をのせて貸し付けることで商売をしていました)。

だから本質的には、実際に世の中に供給されている以上のお金が出回っていることになります。

「元本」の分しかお金は世の中に出回っていませんが、それを返済する時には「利子」が必要となるからです。

数字としてのお金の総量は増えつづけており、元本としてのお金をとうに超えてしまっているのです(※)。

つまり現在の金融システムは実際に社会に供給されている以上のお金を返していかなければならないと言う大きな矛盾を抱えてしまっており、この先も借りて返すを社会全体が延々とし続け続けなければ、事実上経済は破綻してしまうのです。

お金を借りるには拡大発展が前提となりますから、実態として拡大再生産し世の中に新しい商品なりサービスを大量に供給し、また我々がそれを消費し続けなければ社会は回らないものとなってしまっているのです。

そしてそこにSDGSといったような持続可能な経済に向けてさらなる矛盾を盛り込む要素が組み込まれてきてしまっており、もはや実態経済は出口を失い、また方向性を見失ってきてしまっている様子にも見えます。

※中央銀行 →(利子)→ 銀行 →(利子)→  企業や個人

お金が社会に流れ出ていく道は実は一つしかありません。

それは中央銀行が銀行に貸し出し、中央銀行からお金を借りた銀行が企業や個人にお金を貸し出しすルートです。

そして当然のようにその間には対価として「利子」をつけて返さなければなりません。一般的には無利子で貸し出すなんてあり得ませんから。

するとどうでしょう。ちょっと考えればわかることですが、実際に供給されたお金以上が世の中に存在していると言うことになります。

だから、借金の返済にお金が回ってしまうと世の中がどんどん不景気になっていってしまうのです。

※政府は世の中に出回ったお金から「税金」もしくは「国債」を発行してお金を集めています。

なぜ不景気が訪れるのか。不景気に陥る一つの要因

もちろん、この辺りは、いろいろややこしてく、難しくて複雑な話になります。

私自身も全てを十分に理解しているとは言えず理解できていないことも多々ありますが、ただ誰かが借金をしないと成り立たないシステムに社会全体がなっていることは純然たる事実です。

そしてそれは拡大再生産を前提とした社会であってこそ成り立ちます。

だからどこかで誰かが大量に消費したり流通や技術革新などの発展性が止まってしまうと、途端に世の中は不景気になってしまうのです。

現在の社会的金融システムは借金を前提にしてなりたっているものであり、借金が増え続けないと不景気に陥ってしまう脆いシステムだということを理解しておくことが大切です。

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