世間では迷ったり悩んだりすることは、さも悪いことのように取り沙汰されている節がありますが、私はむしろ逆で、迷ったり悩んだりすることはいいことだと思っています。
迷ったり悩んだりすることは、それだけ「それ」について真剣に考えているからと言う理由もありますが、何よりも結論を出した時の納得感が違うからです。
悩まずに出した結論や判断は間違えやすい
これはあくまで私のケースに限っての話ですが、とっさに出した結論や判断は間違うことも多く、判断が間違ってしまった時どこか自分の心の中でぬぐいようのない後味として苦味が残ってしまいます。
悩んだり迷ったりしないで決めたことは何かこう、どうしてもモヤッとしたものが残ってしまうのです。
「あ〜・・・やってしまったなぁ」と。
それが結果としてうまくいっても、もっとうまいやり方があったのではないかと思ってしまいますし、うまくいかなかったらもっと考えて決めればよかったと後に残るのは「後悔」と幾ばくかの苦みだけ。
もしかしたら私だけのことなのかもしれませんが、たいして考えず迷わずに出した結論は周りの評価がどうあれホントうまくいかないことが多いように思います。
実は即断即決は間違えやすい
私は今までの経験からいって即断即決による判断は間違えやすいと結論づけています。
多くのビジネス書には即断即決をする事をよしとする風潮があり、事実そのように書かれていますし即断即決は経営者として当たり前だと言う雰囲気さえあります。
ただ、私の経験からいって即断即決するとかなり高い確率で判断を間違えます。
不思議な事ですがじっくりと考えて検討し結論をださないと、なぜか納得のいく結果にならないのです。
でも多分、これは私だけの経験じゃないと思います。
うまい人や上手に正解を手繰り寄せている人は、実は公になっていないだけで、みんな裏ではじっくりと考えていると思います。
経験上、なんとなく「それ」と言ったように、感覚で選んだ事が当たることは少ないからです。
もちろん普段から「それ」について常に思考を巡らしており、言語化できない領域で確かな「感覚」として得た結論や判断であれば間違うことは少ないでしょう。
何でもかんでも言語化することを好む人たちもいますが、世の中には言語化できない「領域」や「事柄」があり、おそらく天才はそれを利用してものごとを見ているのだと思うし、判断をしているのだと思います。
芸術やアートの世界でも、その人間として「言語化できない領域」を形にするからこそ多くの人を感動させる作品になるのだと思うし、古典的な作品として後世に語り継がれるようなものになるのではないかと思います。
だから多くの人が即断即決に見えるのは、たまたまそのタイミングが重なっただけで、頭の中で常に考えたりうごめいたりしている「何か」と「何か」が「ある事」をきっかけとしてくっついたからに過ぎないのではないかと思います。
そう考えると私も、周りからは即断即決に見られてもそれは常に頭の中で言語化できずにいた「何か」と「何か」が「ある事」をきっかけとして突然形をなした姿形に変わった結果に過ぎないと思える事がたくさんあります。
経営者はプライドが高い人が多いので、もしかしたら判断を間違えたときの滑り止めみたいな形で即断即決だと言っているのかもしれません(暗に即断即決だから間違えることもあると言うことを意味している)。
分をわきまえず一握りの天才と同じように天才が持ちうる「領域」で判断しても間違うに決まっています。
即断即決ができるのは一握りの天才だけ
それに多くの経営者は世間一般の人々が思っているほど実はそんなに頭が良くありません(笑)
私の周りの経営者や友人知人も頭の悪い人が多いですし、ネジが何本も抜け落ちていてかろうじて人間として機能している方が多いです。
「ねえ、僕は人間じゃないんです。本当にごめんなさい。そっくりにできてるもんで、よく間違われるのです」
これはRADWIMPSの「棒人間」の一小節ですが、私のことだと思う私の周りの経営者は多いのではないでしょうか(笑)。もしかして野田洋次郎さんは私の周りの経営者のことを歌っているのではないかと思えるほどです。
興味があればぜひきいてみてください。聴けばきくほど本当「棒人間」は、私の周りの経営者のことを歌っているんだと思えてなりません(おまえも同じ穴のムジナだろと思われてそうですが(笑))。
常識では物事を考えられないと言うか、考えないと言うか、口当たりを良くして言えば常識に縛られないと言うか、そんな人たちが実に多い。
どの口が言うんだと言われてしまいそうですが、よくそんなんで社会に適合できているなと思う事が多いです(「ホンマ、アホやなぁ」と言う人たちばかりです)。
そして私も御多分に漏れず、決して頭がいいとは言えません(笑)
判断を間違うこともありますし、とっさに出した結論は特に間違う事が多い。
でも、それを知っているからこそ、自分の未熟さ加減を嫌になる程知っているからこそ、「それ」についてものすごく考えて結論を出します(「考える」には「勉強する」や「人に話を聞く」も入ります)。
そして納得した上で、考え抜いて出した結論だからと自分に言い聞かせて、その「道」を確かな歩みとして一歩一歩力を込めて歩いていきます。
もしも経営者が頭が良いように見えるのであれば(もちろん時にキレッキレのものすごく頭の良い経営者もいます)、それは経営者自身がそのように取り繕い演出しているからであり(実際、経営者は世間からの見せ方がうまい人が多い)、現実はたいして頭が良くない人の方が多い気がします(ずる賢さはあります)。
実際ある「領域」では非常に賢くても、ある「領域」になると途端に考えが及ばなくなるような人たちばかりです。
世間一般から見れば「オタク」気質であったり、どこかこう「偏った人」や「変わった人」「クセの強い人」が多いように思います。
もちろんいずれの経営者(事業で生き残っている人に限る)も世間一般で言う「頭の良さ」とは違う領域の「頭の良さ」や「したたかさを伴う賢さ」ならあります。
そう考えると、優秀な経営者は頭は悪いものの、ものすごく真剣にご自身が取り組む事業について考えているし、だからこそ、事業を継続していく事ができているのだと思います。
悩むことや迷うことはいいことだ
生きていれば誰でも悩んだりや迷ったりすることは必ずあります。
でも、そうした場面に出くわしたら、どうか、悩んでください。そして迷ってください。
それは成長痛のようなものであり、必要な痛みであり、必要な経験です。
即断即決をした場合の経験値と、悩んで悩んで迷って迷ってその結果出した結論ではそのあとの「味」が変わりますし、経験値も大きく変わってくるように思います。
迷ったり悩んだりした結果、元の場所に戻ってきてもいいんです。はじめの結論に戻ってきてもいいんです。
大事なのは「そのこと」について様々な角度から考えた「経緯」であり、そうして出した「結論」と「答え」なのです。
だから、決してその場の雰囲気に流されず、断固として「それ」について悩み迷い考えぬいてください。
悩んで悩んで悩み抜いた上で出した結論であれば、その決断に対して「責任」が持てますし、その後その「道」を進む上での活力となります。
どうか、普段から思いを巡らしている「領域」以外のことでは、即断即決をせずに慎重に悩んで悩んで迷った上で結論を出していってください。
十分に考え抜いて納得した上で結論を出す。
それだけでその後に歩く「道」の可能性は広がるように思います。
コメントを残す